2018年8月13日月曜日

カニエ・ウェスト「生まれてきてありがとう、タイラー」



 カニエ・ウェストがタイラー・ザ・クリエイターの「See You Again」のミュージックビデオを「生まれてきてありがとう、タイラー」と大絶賛している。もともと親交のあるふたりだけど、最近ではスパイク・リーの映画『ブラッククランズマン』(18年)を公開初日にロサンゼルスの劇場で一緒に観たらしい。『Ye』(18年)の制作中にも、タイラーが投稿した「ファレルとチャーリー・ウィルソンのプロジェクトだったら喜んでカネを出す。トニー・ウィリアムスとカニエのプロジェクトも聴きたい」というツイートをすかさず見つけて、ワイオミングのスタジオにつめていたトニー・ウィリアムスに見せてきたという。トニー・ウィリアムスはインタビューでこう話している「カニエが部屋に入ってくるほんのちょっと前、タイラーのツイートのスクリーンショットが送られてきた。そしたらすぐにカニエがやってきて、携帯の画面に映ったツイートを見せられたんだ。タイラー・ザ・クリエイターは若者の代弁者だろ。つまりそれが若者の声ってことさ。本当に若い人たちが求めているのなら、従うほかないと思うんだ。タイラー・ザ・クリエイターにエールを。若者のいちばんの代表がまさか俺のアルバムを聴きたがってるなんて思いもしなかった。こんなに嬉しいことはないよ」。
 もしカニエとタイラーのコラボプロジェクトが実現されれば、それこそ財布のひもがゆるんでしまうこと必至である。生まれてきてありがとう、タイラー、そしてカニエ。

Tyler, The Creator - "See You Again"

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タイラー・ザ・クリエイター「See You Again」



 タイラー・ザ・クリエイターが監督・主演した「See You Again」のミュージックビデオの後半部分は、A24の映画『ア・ゴースト・ストーリー』のオマージュかな。まだ予告編しか観てないけど、あらすじを読む限り、映画の方も「また会える日まで」的なストーリーらしいので、タイラーの引用は正しいっすね。

Tyler, The Creator - "See You Again"


A Ghost Story | Official Trailer


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タイラー・ザ・クリエイター&エイサップ・ロッキー「Potato Salad」



「馬鹿なクソガキどもは俺のことを偽善者よばわりするんだ。俺が自分らしくあれって言う一方で、他人の服装をからかうからだって。まじで馬鹿すぎだろ? たしかに俺はひとの服装をからかうよ。でも、俺にどれだけコケにされようと、そいつにはその服装のままでいて欲しいんだ。なにが言いたいかはわかるだろ?」(「GQ Style」2018年秋号

 わかる。これまでずっと「自分らしくあれ」というメッセージを伝えてきたタイラー・ザ・クリエイターにとって、オリジナリティを持つことは信条である。
 タイラーの信条は「Radicals」で吐露される「ユニコーンへの憧憬」にわかりやすい。タイラーはこの曲で、自分のことを一角獣(ユニコーン)である宣言する(I'm a fucking unicorn)。荒唐無稽、戯れ言だと思うかもしれないけど、誰がなんと言おうが関係ない。タイラーがそうだと言えば、そうなのだ。

 タイラーとエイサップ・ロッキーによる新曲「Potato Salad」は、2大スターラッパーの共演かつ、ミュージックビデオのロケ地がエッフェル塔の建つパリのシャン・ド・マルス公園ということもあり、“ミレニアル世代版スローンズ”による新「Ni***s In Paris」とでも呼びたいような1曲だ。元祖スローンズことジェイ・Zとカニエ・ウェストの「Ni***s In Paris」がそうであるように、「Potato Salad」もかけことば(ルビ:ダブル・アンタンドレ)を用いた自己賛美(ルビ:ボースティング)とバトルライムが痛快である。ここでもタイラーは「上下スーツに、足元は靴下にサンダル履き」するなど、独自のファッションセンスを喧伝している。
 ミュージックビデオの最後、ロッキーがカメラに向かって両手の中指を立て、首からじゃらじゃらとぶら下げたペンダントを見せびらかすという、ロッキーらしいかっこいい(ルビ:クール)決めポーズを見せると、タイラーもそれを真似てカメラの前へと歩み寄る。しかしすぐに勇み足であったことに気づき、「やべ、そういうクールなポーズはなかった(I have nothing cool to do)」とこぼし、ドッと笑いが起きてビデオは終わる。なんてことのない一場面だけど、自分らしくあれを信条とするタイラーを象徴するような瞬間だと思う。他人のポーズを真似るなんてタイラーらしくない。「Rusty」でも言っている「かっこつけ(ルビ:ポーザー)はダサい(Posers looking silly)」と。

N.E.R.D. - "Rock Star"


Tyler, The Creator & A$AP Rocky - "Potato Salad"


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2018年8月5日日曜日

続々々々・カニエ・ウェスト『Ye』〜グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』



 カニエ・ウェストが読んだという本『エッセンシャル思考』読了。原題は『Essentialism』。日本語版の副題は『最小の時間で成果を最大にする』。ただ漫然とこなすだけの仕事に忙殺されるのでなく、本質(ルビ:エッセンス)を見極め、無駄を省き、大事なことだけに集中することでパフォーマンスを高めましょう、ひいては人生を実り豊かなものにしましょうという趣旨の自己啓発本である。最近のカニエの言動は、この本の内容に基づいてなされたのではと思いながら興味深く読んだ。全世界が非難囂々(ひなんごうごう)だった「奴隷制は選択」発言も、本書が提唱する思考法に触発されたのだと思えてくる。評判の悪かったあの発言でカニエが真に言わんとしていたことは「精神の奴隷化」、つまり黙ってされるがままの受け身の姿勢でいるのはやめようということだと思うんだけど、『エッセンシャル思考』にもこんな一文がある。

「私たちは長いあいだ、選択の外的側面(どんな選択肢があるか)にばかり目を向けて、選択の内的側面(選ぶ能力)を見過ごしてきた。この違いは重要だ。選択肢(物)を奪うことはできても、選ぶ能力(自由意志)を奪うことは不可能である」(グレッグ・マキューン著、高橋璃子訳『エッセンシャル思考』かんき出版)

 本書には「より少なく、しかしより良く」といった類のことがたびたび書かれているけど、『Ye』(18年)を含む、5週連続でリリースされた一連のカニエ・プロデュース作品がどれも7曲という少ない収録曲数だったのも、本書のエッセンシャル思考に影響されての戦略だったのかもしれない。

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2018年7月29日日曜日

デンゼル・カリーのドレッドロックス



 デンゼル・カリーが自身のトレードマークであるドレッドロックスを新たに黄、赤、青の3色に染めている。あれ、もしやその髪色はリル・パンプとかシックスナインを真似たのでは?「パーコセットには手を出さない」「顔にタトゥーは彫らない」「俺はお前らとはちがう」とか散々偉そうなことを言っておきながら、けっきょく流行りに乗っかってるじゃん!というマンブルラップ・ファンからの批判が聞こえてきそうだが、決してあなどることなかれ。彼が髪を染めたのには、きちんとした理由がある。
 トーク番組「Everyday Struggle」登場時のデンゼルの説明によれば、黄色は『ドラゴンボール』の「超サイヤ人1・2・3」を、赤色は同じくサイヤ人が戦闘能力を高めるために使う技「界王拳(かいおうけん)」を、そして青色はやはりサイヤ人の進化形態である「超サイヤ人ゴッド」を表現しているとのこと。作中のそこここで感じ取れるように、デンゼルにとって「進化」は重要なモチーフとなっている。「Super Saiyan Gogeta Freestyle」と題されたアルバム未収録曲(ゴジータ!)でも「ポケモンみたいに俺は進化する」と歌っている。
 まるで少年ジャンプのキャラクターが大技を決める際にエネルギーを大放出させたかのような「ゴゴゴゴゴ…」感を想起させる『TA13OO』(18年)のクライマックスでは、サイヤ人のようにドレッドヘアを逆立たせた“ブラック・メタル・テロリスト”こと、デンゼルの姿が幻視される。とどめを刺せ、デンゼル!(Finish 'em Zel!)

Denzel Curry - "BLACK METAL TERRORIST"


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