2016年12月31日土曜日

ケヴィン・アブストラクト『American Boyfrind: A Suburban Love Story』〜アメリカにはうんざり



「みんなYoung Thug(ヤング・サグ)のことを好きなのに...」とは、実に上手いことを言うなあと感心してしまった。Kevin Abstract(ケヴィン・アブストラクト)にはボーフレンドがいる。でもケヴィンのお母さんは「ゲイ嫌い」。家族に理解者がいないというのは、同性愛への無理解に限らず、つらいことである。そこでケヴィンは心の安らぎをパートナーの方に求めたくなるわけだが、一筋縄にはいかない。ボーイフレンドは「ケヴィンの肌の色を怖がるかも」という理由から両親をケヴィンに会わせようとしない。つらい。二重の意味で社会のマイノリティなのが、とてもつらい。アメリカは生きづらい。ケヴィンはそんな息の詰まる社会を「みじめなアメリカ」と呼ぶ。アメリカの生きづらさを訴えた作品として、グザヴィエ・ドランの監督作『トム・アット・ザ・ファーム』(13年)が思い出される。物語のクライマックス、ゲイであるトムを暴力で抑圧するフランシスのジャケットの背中では、これでもかというぐらいでかでかと星条旗がなびいていた。エンドロールで「アメリカにはほとほとうんざり」と歌うルーファス・ウェインライト(2012年に同姓結婚している)の「Going to a Town」は、トム(もしくはドラン自身)の気持ちを代弁していた。アメリカは生きづらい(註:ドランはカナダのモントリオール出身で、本作の舞台もカナダのケベック)。『トム・アット・ザ・ファーム』のフランシスがマッチョでゲイに不寛容な保守的な古いアメリカ的価値観を象徴しているならば、対して「Miserable America」という曲で引き合いに出されたヤング・サグは、何のてらいもなく平然とドレスを着てしまうぐらいで、ジェンダーフリーで進歩的な新しい価値観を象徴しているといえるだろう。


Kevin Abstract - "Miserable America"


Kevin Abstract - "Empty"


Rufus Wainwright - Going To A Town (Tom A La Ferme - Xavier Dolan)

2016年12月25日日曜日

タイラー・ザ・クリエイターのベスト・ツイート / 2016



 Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)が2016年に投稿したツイートのなかから、選りすぐりの3ツイート。

「そう、人生を謳歌中」ー2016年2月9日

ファンからの「最近タイムラインで見かけないけど、他に何か取り組んでいることがあるの?」という質問に対する返答。

「19歳の俺へ、お前は正しい選択をした。我が道を突き進むことにしたお前を褒めてやるよ、この生意気小僧」ー2016年3月5日

学業を取るか、夢を追いかけるかの選択に悩む19歳当時のタイラー自身のツイートを振り返って。

「自分より優秀なひと、憧れを抱くひとたちの周りに身を置くこと。そうすれば、“より高み”へと向かいたくなるから」(2016年8月29日)

ファンからの「怠惰な自分に打ち勝って、信念を貫き通す秘訣は?」という質問に対する返答。

ソランジュ「Mad」



 Solange(ソランジュ)の「Mad」『Seat At the Table』(16年)所収)はその名の通り「怒り」について歌った曲だ。「Mad」の導入部分を担うインタールードで父マシュー・ノウルズが語っているように、また「Rookie」による『SATT』のレヴューで、作家ジェームズ・ボールドウィンの「この国において、黒人であり、少なからず意識を高く持つということは、すなわち四六時中憤怒させられるということだ」という言葉が引用されているように、ソランジュの「Mad」という曲の背景には人種差別に対する憤りがある。またそうした怒りを「怒れる黒人女性」というステレオタイプで片付けられてしまう事に対しての憤りも感じさせる。穏やかなメロディに乗せて歌われる歌詞は人種差別に直接言及もしなければ、怒気を孕んだ言葉も見当たらない。しかし「Mad」に込められたメッセージは強靭だ。なんでいつも怒っているのか、なんでいつも文句ばかり言っているのか、って? それは腹立たしいことが山ほどあるから(I got a lot to be mad about)。

 僕がこれから書くことは、ソランジュのメッセージを矮小化しているかもしれない。僕の怒りなんて、ソランジュのそれに比べたら取るに足らないことかもしれない。それでも書かせてもらう。腹立たしいことがうんとたくさんあるのだ。
「Mad」には、テレビ番組のインタビューで「ブラック・ライヴズ・マターなんて知ったこっちゃない」と発言して物議をかましたLil Wayne(リル・ウェイン)が客演参加している。そんなウェインが人種差別に対して怒っているわけもなく、「Mad」では彼が所属するキャッシュ・マネー・レコードのカネの未払いに対して不平を言っている。怒る理由はひとそれぞれだ。

 朝の混雑した電車、駅構内には腹立たしいことが山ほどある。階段やエスカレーター前では利用客が滞留して渋滞が起きる。人混みに揉まれて窮屈な思いをするのは嫌だけど、それ自体は仕方がないので怒りはしない。腹立たしいのは、そういった状況で人を押しのけて無理矢理前進しようとする人たちだ。急ぐのは勝手だが、肩をぶつけて割って入ったり、後ろから背中をぐりぐり押したり、他人に迷惑をかけるような行為は断じて許されるべきではない。そんなに急ぐなら、もっと時間に余裕を持って行動するべきだと思う。前夜五分早く布団に入って、朝五分早く起きて、五分早く家を出て、一本早い電車に乗ればいい。慌てて駅を駆け回る人たちの姿は、ラット・レースのネズミそのものである。僕はそんな風に朝から慌ただしくしたくないので「余裕」を大事にするよういつも心がけている。死にもの狂いで座席に着こうと整列乗車を乱す輩も腹立たしい。何が何でも座りたいというのであれば、列の先頭に立てるよう時間に余裕を持って行動するか、次の電車を待てばいい。対価を払わず利益だけ享受しようなんて、虫のいい話だ。
 余裕のなさが人を堕す。逆に、時間的な余裕は心の余裕につながる。心に余裕がないから、他人を突き飛ばすことに無頓着になれるのだ。心の余裕はさらに寛容につながる。後ろから無理矢理割り込まれたり、横入りされたときは、嫌だなあと思いつつ、黙って前を譲っている。ファック・ユーと罵りたい気持ちを飲み込んで、心の中でアフター・ユー(お先にどうぞ)とつぶやくのだ。マタニティマークならぬ、アフターユーマークを鞄に取り付けたら、割り込みのための体当たりをやめてくれるだろうか。
 混み合う駅構内で歩きスマホをしている人も腹立たしい。歩きスマホの弊害は歩みが遅くなる点だ。前述の慌てるべからずという発言と矛盾するように聞こえるかもしれないけど、混雑した駅をスマホをいじりながらのろのろ歩かれると、後ろに並ぶ人の迷惑だし、それが原因でさらなる混雑が発生する。人の流れに淀みをもたらしている。どうしても歩きスマホをしたい場合は、いつもより早足になるよう意識して歩けばいいと思っている。スマホに注意がいって減速した分を早足歩きが相殺することで、のろのろ歩きが解消されるはず。
 降車客が降り終わる前に電車に乗り込もうとする人、大股開きで座席に座る人(我が物顔で大股開いて座るのは大抵の場合、男性である。お前のいちもつは股を閉じて座れないほど立派なのかよ。股間目掛けてグーパンチを食らわせてやりたい)、混雑した車両内を無理矢理縦断(車両間移動)する人(降車駅出口の最寄りのドアで降りたい気持ちは理解できるが、それなら最初からそのドアから乗ってください)、建築家の安藤忠雄(2013年に行われた渋谷駅の改装工事によって、東横線ユーザーの利便性がいちじるしく損なわれた)にも腹が立つ。腹立たしいことが山ほどある。

 腹立たしい気持ちになったときは、ソランジュの「Mad」を聴く。曲中ソランジュが出会う少女の問いを自分にも投げかけてみる「なんでそんなに怒ってるの?」。「Mad」は怒りを歌った曲であるはずなのに、聴くと怒りが静まる不思議な魅力を持った一曲だ。





2016年12月11日日曜日

やさしいラップ / 2016


 2016年の「やさしいラップ」3選。ここに挙げた3曲それぞれが歌を捧げる対象(キャリアウーマン、失業者、子育てに忙殺される母親)のどれにも僕は当てはまらないけど、彼らのやさしい言葉に励まされ、この1年間たくさんの元気をもらった。

Drake - "Faithful (feat. Pimp C & dvsn)"

Working, working, working, working, ain't ya?
You don't have no time to lay up
You just trying to be somebody
'Fore you say you need somebody
Get all your affairs in order
I won't have affairs, I'm yours, girl
Faithful, faithful, faithful, faithful

今日も仕事、明日も仕事、毎日働きづめで
休む暇もないんだろ?
お前は一人前になろうと一生懸命
誰かと付き合うこともせず
きちんと仕事をこなしているんだろ
俺は浮気なんてしないよ、ガール、俺はお前のもの
裏切ったりしないから信頼して



Lil Yachty - "Life Goes On (feat. Cook Laflare)"

Life goes on
Well, fuck these bitches, count your money cause you work for it
Life goes on
Backstabbin' niggas, cut 'em off, you'll be fine cause
Life goes on
I know you just lost your job, but stay up cause
Life goes on

人生は続くよ
女とファックして、カネ勘定、汗水垂らすのはこれのため
人生は続くよ
陰口叩くやつは相手にしない、きっとうまくいく、だって
人生は続くから
お前は仕事を失くしたんだろ、でも上を向いて、だって
人生は続くから



Chance The Rapper - "Smoke Break (feat. Future)"

We just been smoking a bowl
We don't got no time to roll
I'm always out on the road
She don't got time for a whole
Little bit of time that we have

ボール皿でハッパを一服
巻いてる時間がないから
俺はいつも外で仕事
彼女は一日中慌ただしくて
二人の時間はこれっぽっちもなし

Let me crack your back
Let me rub you all over
Take it down, ooh
Let me make this blunt
Make you dinner or somethin'
You deserve, you deserve
We deserve, we deserve
We deserve, a smoke break
We deserve, we deserve
We deserve, a smoke break

腰を揉んで
マッサージしてあげるよ
ゆっくりしろよ
ハッパを巻いて
夕食を用意するからさ
お前にはそれがふさわしい
俺たちには一服必要
俺たちには一服必要





2016年12月10日土曜日

TOP 3/2016


TOP3/2016

MUSIC
#1. A$AP MOB - COZY TAPES VOL.1

#2. SOLANGE - A SEAT AT THE TABLE

#3. LIL YACHTY - LIL BOAT

2016年のマイベストはエイサップ・モブのグループアルバム。Camp Flog Gnawで見た『Cozy Tapes』メドレーが、ただただ問答無用にひらすらカッコ良くて打ちのめされた。カニエ・ウェスト『The Life of Pablo』と宇多田ヒカル『Fantôme』は、アルバム一枚を通して統一感に欠ける点が今っぽくなくて惜しい(ストリーミング時代に「アルバム」を作る意義)。トータルプロデュースという意味において、ソランジュ『A Seat at the Table』は完璧。リル・ヨッティには誹謗中傷に負けず頑張ってほしい(何故みんな嫌うの?)。

BOOK
#1. スティーブン・ウィット - 誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち

#2. 山内マリコ - あのこは貴族

#3. FRANK OCEAN - BOYS DON'T CRY

MOVIE
#1. JOHN CARNEY - SING STREET

#2. JOHN CROWLEY - BROOKLYN

#3. MATT DUFFER, ROSS DUFFER - STRANGER THINGS

#4. BYRON HOWARD, RICH MOORE - ZOOTOPIA

#5. OWEN HARRIS - SAN JUNIPERO (BLACK MIRROR S03E04)

OKAIMONO
#1. MR.GENTLEMAN QUILTED MIX PULLOVER SWEAT PARKA RED

#2. GOLF x VANS

#3. CASIO A164WA-1

山内マリコ著『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』を読んで購入。『ドープ!』の90年代ヒップホップおたくの主人公マルコムと、『シング・ストリート』のマネージャー兼カメラマンことダーレンも着用していた。

発掘良品
JUSTIN TIMBERLAKE - JUSTIFIED (2002)

PREFAB SPROUT - STEVE MCQUEEN (1985)

ウォルター・アイザックソン - スティーブ・ジョブズ(2011)

パトリシア・ハイスミス - 孤独の街角(1986)

 開高健 - 風に訊け(1984)




 
 

2016年11月20日日曜日

CAMP FLOG GNAW CARNIVAL 2016



タイラー・ザ・クリエイターが主催する音楽フェス「Camp Flog Gnaw Carnival」を観に、ロサンゼルスに行ってきた!

今年で開催5周年を迎えるCamp Flog Gnaw。これまでの出演アーティストは、タイラー・ザ・クリエイターをはじめとするオッド・フューチャーのメンバー、エイサップ・ロッキー、ファレル・ウィリアムス、スヌープ・ドッグなど、豪華な面々。タイラーが好きな/見たいアーティストを招聘するCamp Flog Gnawは、音楽好きなら一度は夢想するであろう「夢のフェス」だ。毎年、いつか行ってみたいなあと思っていたこのフェスが、今年は規模を拡大して二日間開催されることになった。注目の出演陣は、チャンス・ザ・ラッパー!エイサップ・ロッキー!!エリカ・バドゥ!!!リル・ウェイン!!!!ほか多数。豪華ラインナップを見るや、これは行かなきゃ一生後悔する!とロサンゼルス行きを即座に決意したのだった。

まずは航空券を購入。続いて宿。今回はホテルに泊まらず、民泊サービス「Airbnb」を初めて利用してみた。登録を済ませ、ロサンゼルス地区の宿を探す。部屋の写真、価格、レビューを見比べて、会場近くの宿を予約。無事予約できたはいいけど、不安だらけで夜も眠れないので経験者に話を聞いた。Airbnb利用時の注意事項として、共有スペースはきれいに使うなど基本的なことを守れないと、低い評価をつけられて次回以降泊めさせてもらえなくなるという話を聞いて、英ドラマ『ブラック・ミラー』のブライス・ダラス・ハワード主演回で描かれる万事評価社会へと着実に近づいてるなあと思った(今回の旅行で多用することになるUberも、Airbnb同様に利用後、運転手を星の数で評価するシステムをとっており、またしても『ブラック・ミラー』を想起させられた)。そのほかAirbnb利用時の耳寄り情報として、おみやげにキットカット抹茶味とか日本にしか売っていないフレイヴァーのお菓子を持っていくといい事があるかも、とのこと。お菓子如きでホスピタリティが高まるならお安い御用。

渡航までの間は、Camp Flog Gnaw出演者の楽曲をまとめたSpotifyのプレイリスト「camp flog gnaw 2016」を聴いて予習。楽しみすぎる。


11月11日(金)。昼過ぎに仕事を切り上げ、一旦帰宅。前日に荷造りしたスーツケースを広げて忘れ物がないか点検。いざ羽田空港へ。京急線に乗って羽田空港国際線ターミナル駅に17時ごろ到着。チェックインは事前にオンラインで完了済みだ。スーツケースを預けて、 円を米ドルに両替する。為替レートは109.38円/ドル。

搭乗まで時間があったので「江戸小路」をぶらつく。平日の夜という時間帯のためか、ターミナルに人は少なく、ゆったりとした時間が流れていて心地よい。改造社書店で今更ながら『地球の歩き方』を買った。今回のLA旅行は、3泊5日の滞在日程のうち2日間を半日フェス会場で過ごすことになるため、観光はほとんど出来ないが、一応目を通してロサンゼルスの観光名所を下調べ。

搭乗。隣の座席には日本観光を終え帰国すると思しきアメリカ人。僕がパスポートや財布など貴重品を入れていたオール・ダーティー・バスタードのポーチ(ヤング・レノックスの展示@CULTCLUB STUDIOで買ったもの)を見て「そのODBのやつ、かっこいいな。どこで買ったんだ?」と訊いてきた。期せずして機内で最初の英会話。

19:20出発。機内でセス・ローゲン主演の映画『ネイバーズ2』を観た 。レベル・ウィルソンみたいな強烈キャラのぽっちゃり女子が気になる。セス・ローゲンの衣装がタイラーのGOLFだ! 否が応にも高まる気持ちを静め、眠りにつく。

太平洋標準時11月11日(金)12:00、ロサンゼルス国際空港に到着。入国審査を終え、荷物を受け取り、空港の外へ。暑い。暑いとは聞いていたが、これほどまでに暑いとは。真夏である。Tシャツ一枚で過ごせる。

この日のTシャツは、トラヴィス・スコットのツアーTシャツ。空港でタクシーを拾って宿泊先へ向かう。雲ひとつない青空。生い茂るヤシの木。これぞロサンゼルスな風景に心が踊る。

14時ごろ宿に到着。庭付きの平家が道路の両脇にずらっと建ち並ぶ殺風景なストリートにその宿はあった。ヴィンス・ステイプルズ『Hell Can Wait』(14年)のジャケット写真を想起。ホストのRonaldが出迎えてくれた。すごくいい人でよかった。部屋も広くてきれい。荷物を置いて、すぐに出発。

「Uber」を初めて使ってみた。5分足らずで車が到着。配車は早いし、目的地はGPSで自動的に伝わるし、運賃は安いし、支払いは電子決済で済まされるため財布を開く必要がないし、めちゃくちゃ便利! 以後、滞在中の移動はすべてUberを使った。運転手との会話のなかで「タイラー・ザ・クリエイターのショーを見にきた」と告げると、なんと彼もラップをやっているという。ストリップクラブの話などラップ談義をしているうちに、目的地であるロサンゼルスカウンティ美術館に到着。

お目当はギレルモ・デル・トロのかいじゅう展(Guillermo Del Toro At Home With Monsters)。スケアリーでクリーピーなデル・トロワールドを堪能。

これとか、

これとか、

いちばん嬉しかったのはこれ。『ファントム・オブ・パラダイス』のマスク!

ロイ・リキテンスタインの作品を模写する少年@ロサンゼルスカウンティ美術館。

帰りにファーマーズ・マーケットに立ち寄ってピザを食べてから宿に帰宅。就寝。

滞在2日目。いよいよ今日からCamp Flog Gnawが開幕!

午前中はハリウッド地区へ足を伸ばした。有名人の名前が彫られた星型プレートが埋め込まれた大通り「ウォーク・オブ・フェイム」を歩く。もっと華やかな通りを思い描いていたのだが、行ってみると意外に閑散としていて地味な印象。アメコミヒーローの衣装を着た男たちが一緒に写真を撮ろうと近寄ってくる。赤タイツ姿のフラッシュに話しかけられるが無視。「ごめん、動きが早すぎて見えなかった」ぐらいの気の利いた返しが出来るようになりたい。

CD・レコードショップのアメーバ・ミュージックを訪れる。2Fの映像ソフト売り場でアイス・キューブ製作・主演の映画『フライデー』三部作DVDセットを見つけて買おうか迷ったけど、米国DVD再生機器がないので購入見送り(それでも買えばよかったと後悔している)。

お土産にお店のロゴ入りトートバッグを購入。鴨の羽色(teal)が鮮やか。

同じ配色のオッド・フューチャーのドーナツ柄Vansとコーディネートしようと思う。

Camp Flog Gnawの会場となるエクスポジション・パークに13時ごろ到着。トップバッターのフォニー・ピープルの演奏が漏れ聴こえてくる! わくわく。そわそわ。しかし、長蛇の列に並び、厳重な荷物チェックを受け、やっと入場出来た頃にはライブ終盤だった。フォニー・ピープルの演奏を数曲満喫したあとは、会場をぐるっと一周探索。ロサンゼルス五輪の会場となった場所というだけあり、広い。

ステージはメインの「Campステージ」とひと回り小さい「Flogステージ」の二部構成。ドリンクやハンバーガーなどの軽食を販売するフードコート、タイラーのアパレルブランド「GOLF」のグッズや参加アーティストのグッズを取り揃えた物販テントがあるほか、ドーナツ屋さん、アクション・ブロンソン考案のメニューを提供する中華料理スタンド「Fuck, That's Delicious」、観覧車やフリーフォールなどの各種絶叫マシーンがあったり、わいわい賑やかなお祭りムードで、まさにカーニバル。屋台の看板から通路の壁面に到るまで、あたり一面タイラーのイラストで溢れる会場は、タイラー・ザ・クリエイター・ランドといった様相。また、場内各所に水道コーナーが設けられていて感心した。空きペットボトルや水筒に水を補給できるという、 身体にも財布にも優しい親切設計。ひとまず食事をとりながらユナの演奏を聴き、長丁場に備え英気を養う。

客層は10代〜20代が中心であるように見受けられた。そこら中に若者のエネルギーが充満している。トラップ系のキラーチューンがかかると歓声(うおぉー!)と嬌声(キャー!)をあげて観衆にダッシュで突入していくキッズたちの姿が多く見られた。そこかしこにマリファナの煙が立ちこめる。副流煙だけで優に1〜2本分は吸ったのではないだろうか。

その後は怒涛の豪華パフォーマンスが続く。カマシ・ワシントン、ドモ・ジェネシス、トキモンスタ、SZA、ジ・インターネット、エイサップ・ファーグ、

チャンス・ザ・ラッパー!
『Coloring Book』(16年)収録曲を中心に披露。出色は何と言っても「No Problem」! ゴスペル調の楽曲も相まって、電光スクリーンを背にしたチャンスは後光の差す聖人に見えた。ゲストでD.R.A.M.が登場して「Broccoli」を披露!

エイサップ・ロッキー!
エイサップ・モブのメンバーが大集結して『Cozy Tapes』(16年)メドレーを披露! うおお、かっこよすぎる...! イケイケオラオラなオーラがビンビンに迸っていて、圧倒された。ロッキーの「Goldie」も見れた!

タイラー・ザ・クリエイター!
エイサップ・モブがゲスト出演して、『Cozy Tapes』から「Telephone」を披露! モブのメンバーがドッカンドッカン盛り上げて退場したあとに、タイラーの相棒ジャスパーがぼそっとこぼした一言「ふ〜、気まずかった(awkward)ぜ」が印象的。最後にYGを呼び込んで「Fuck Donald Trump」を大合唱!

初日のヘッドライナー、リル・ウェイン!
「A Milli」「Mrs. Officer」「Go DJ」「Every Girl」「Bandz Make Her Dance」など新旧ヒット曲のオンパレードで大興奮! CDで聴いていた通りのしゃがれ声!

以上、大満足で1日目のCamp Flog Gnaw終了。チャンス・ザ・ラッパーやリル・ウェインの裏で同時間帯にやっていたリル・ウージー・ヴァート、DJマスタード、トロ・イ・モア、ケイトラナダのステージは残念ながら見られず。トロ・イ・モアをパスして見ないとは、なんて贅沢なんだ!


滞在3日目。本日も快晴で絶好のフェス日和。午後からはCmap Flog Gnaw2日目。この日は午前中にダウンタウン地区へ向かった。まずは、昨年9月にオープンした現代美術館ブロードへ。「慈善家であるエリ&エディス・ブロード夫妻が設立し、幅広い世代に楽しんでもらいたいという趣旨のもと、当面の間は入館無料に設定されている」(『地球の歩き方』より)。

このときブロードでは「CREATURE」展が開催中だった。

カニエ・ウェスト『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』(10年)期のアートワークを手がけたジョージ・コンドの作品を鑑賞。

ミュージアムショップにはジョージ・コンド作品をプリントしたスケートデッキも。

海辺に佇むノーランバットマン風の男@ブロード。

お土産にブロードのオリジナル水筒を購入。職場に持っていけるおしゃれな水筒をちょうど探していたところだったし、このあとCamp Flog Gnawの会場でさっそく使用して、喉を潤した。

続いて昼食を食べるために移動。これまでピザやハンバーガーなどジャンクフードしか食べていないので、せめて1食ぐらいは美味しいものを食べたいと思い、チャイナタウンにあるお店チェゴへ。ここはジョン・ファヴローの映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のモデルになったシェフのロイ・チョイが経営するお店。豚の角煮丼をいただく。めちゃ美味しかった!


会場に向かうUberの車中で流れるラジオから聞こえてきた曲がすごく良い。耳をそばだてて曲名を聞き取り、iPhoneにメモ。ニール・ヘフティの「Li'l Darlin'」というジャズのスタンダード曲だった。

2日目のCamp Flog Gnaw会場に到着。カリ・ウチスを皮切りに、ガラント、タコのDJセット、フラットブッシュ・ゾンビズ、アクション・ブロンソンを続けて観る。

一旦小休止。グッズ売り場でタイラーとエイサップ・ロッキーの合同ツアーTシャツを購入した。

続いては、エリカ・バドゥ!
「Gone Baby, Don't Be Long」に酔いしれる。この曲だけもう1時間ぐらい連続リピートして聴いていたいぐらいの気持ち良さ。天にも昇る心地とはこのことか。嗚呼、昇天。「Cel U Lar Device」から「Telephone」へのつなぎに痺れる。

次はタイムテーブルではTBA(To be announced:後日発表)とだけ発表されているスペシャルゲスト。誰だろうと固唾を飲んで待機していると、突如不穏な音楽とともにステージ上のスクリーンが怪しげな映像を流し始めた...

なにやら触手のようなものがうねうねと動いている...

触手が結合して遺伝子を形成していく...

さらに遺伝子が何かを象っていく...

WOLF...ウルフ? 観衆のなかから勘のいいファンの歓喜の声があがる。もしや、これは...!

EARLWOLF!!
と、そのとき、耳馴染みのあるドラム音が響き渡る...ドン、ドン、ドン、ドン...

アールが登場!「Couch」を披露! オーディエンスのボルテージは最高潮に達する。アールのヴァースが終わると同時に食い気味に、バングラデシュ製のけたたましいピアノの鍵盤音が空を切り裂く!「Orange Juice」だ!

タイラーも出てきて、悪童兄弟アールウルフが今夜限りのリユニオン!
爆発寸前といった勢いで激しく言葉を吐き出すタイラーと、落ち着き払った様子で言葉を紡いでいくアールが好対照。
続いて披露されたのは、タイラー、アール、そしてドモ・ジェネシスの三人揃い踏みによる「Rusty」! この曲は前日のドモのソロステージでも披露されたけど、そのときはドモ一人のヴァースだけで終わり、肩を落としていただけに、この展開は嬉しすぎる(このブログでも折に触れて書いているけど、「Rusty」はタイラーの生き方や信条が知れる重要曲だ)。

2016年のCamp Flog Gnawの最後を締めくくる大トリは、スクールボーイ・Q!
登場曲は「Gangsta」。(語尾を上げて)ギャングスタギャングスタギャングスタ〜。「Collard Greens」のケンドリック・ラマーが銃の発砲音を真似するところ「Doo-doo, doo-doo」では、観衆も一緒になって空砲を夜空に打ち鳴らしていた。「Man of the Year」にどことなく漂う物悲しいメロディが、旅の終わりを告げているよう。

Camp Flog Gnaw Carnival 2016、これにて閉幕。
会場出口では「今日は来てくれてありがとう」というタイラーからの感謝の音声メッセージがスピーカーから流されていた。こちらこそ、夢のような時間を過ごさせてもらいました。ありがとう、タイラー!

滞在4日目。6時前に起床して、荷物をまとめてロサンゼルス国際空港へ。この日のTシャツは、意気揚々と買ったもののこれまで着る機会がなかった『ニュータウンの青春』Tシャツ。英語圏なので胸を張って着られた。この映画のキャッチコピー「さよならだけが人生だ、いやマジで」を思い出す。さよなら、ロサンゼルス。

10:40出発。帰りの機内では『シング・ストリート』『X-MEN:アポカリプス』『ペット』を観た。『シング・ストリート』はもう何回も鑑賞しているけど、やっぱり最高。バンド名を話し合いで決めて、(スローモーションで)小屋から出てくるところのみんなの得意げな表情がたまらなく好き。ベーシストのいぶし銀さよ。『X-MEN』は苦手なシリーズだから劇場に行かず、機内で観られて好都合だった(やはり苦手だ)。『ペット』が面白かった。今年の最優秀バニー賞は『ズートピア』のジュディで決まりだと思っていたところに強力なライバルが出現。『バッド・ママ』も観たかったが、時間切れ。日本時間11月15日(火)15:55、羽田空港に到着。京急線に乗って家路に着く(Uberを使って帰りたい)。

 

 

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