2014年9月28日日曜日

RIKKI『BLACKGATE』



「みんな俺のこと知ってる?」AVALANCHE 4のステージの上、さあこれからソロ曲を披露せんとするRIKKIがおどけた調子でこう言って観客を湧かせていたのをよく覚えている。そのときはRIKKIのことをあまり知らなかった。もちろん名前や顔、彼がSIMI LABの新メンバーでラップをやっていることなど最低限の情報は知っていた。というより、それ以上のことは知りたくても知りようがなかったように思う。SIMI LABの2ndアルバム『Page2 : Mind Over Matter』(14年)には各メンバーがそれぞれの「出自」について歌った"Roots"という曲があった。しかしメンバーについて知るにはうってつけのこの曲にRIKKIは不参加だ。かといってRIKKIが他の参加曲で自分語りをしているかというとそうでもない。自分語りをする代わりに耳につくのはやたらとポジティヴなメッセージと達観的な視座。「手に取った使命を果たすだけ、行い悪ければ落ちるだけ/人生舐めきった考えはもうやめとけ、伝わらないなら乳母車に乗れ」(Avengers)、「明るい方へ仕向ける気ならば、壊れた物は元に戻るから/一分一秒無駄にするんじゃね、サビた物は時間の経過によって/修正するまで時間掛かるんだぜ、焦るこたね〜ゆっくり歩いて」(Circle)などなど。この人はなんでこんなに前向きなんだろう? RIKKIとはいったい何者なんだろうか? アルバムを繰り返し聴けば聴くほどRIKKIへの興味が強くなっていく。

 このたび発表されたRIKKIのソロアルバム『BLACKGATE』(14年)を聴いた。怖い。SIMI LAB作品で自分語りをしていなかったのは、本作があったからに違いない。アルバム全体を覆うホラー風味はSpaceGhostPurrp(スペース・ゴースト・パープ)のそれを想起させる。全10曲。収録時間44分。なかでも耳を惹くのは何と言っても7曲目の"GangFile"。ヤクザの事務所に出入りしていたこと、殺傷事件に遭ったことなど衝撃の過去の数々が明かされる。さきほどのSIMI LABの"Roots"のRIKKIソロ版とでも言うべき1曲だ。SIMI LABを特集した『ele-king Vol.13』のインタビューで、RIKKIがSIMI LAB加入前に他のグループで活動していたが上手くいかなかったというのを読んで、苦労人なんだなとは思っていたが、苦労の程度は想像している以上だった。
 SIMI LAB作品で見られたRIKKIの建設的な姿勢、達観的な視座は、"GangFile"で語られるような苦難を乗り越えてきたからこその賜物なのだと思う。誰でも彼でもKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)を引き合いに出して比較しようとするのは我ながらどうかと思うけど、RIKKIのポジティヴ思考は、最新曲"i"で自己愛を歌うケンドリックに通じるところがある気がする。死線をかいくぐってきた両者がたどり着いたのは同じ境地だったのだ。


RIKKI - "Mafia Lane"

2014年9月7日日曜日

リル・B “ザ・ベイスト・ゴッド”「プリティ・ボーイ・アンセム」



https://www.youtube.com/watch?v=5y7ZLRvirdU
 いったい何なんだこの曲は? Lil B "The BasedGod"(リル・B “ザ・ベイスト・ゴッド”)はどうやら何者かに拉致監禁され、女との接触を禁ぜられているらしい。女を抱けない生活など到底考えられないリル・Bは、この非常事態がどうか悪い夢であってくれと狼狽する。恐怖に怯えるリル・Bの心境はおどろおどろしいトラックからも伝わってくる。さてどういうことだろうか? 自分が日常的にいかに多くの女を抱いているかということを、このように女を断たれた悲劇性を強調することで逆説的に主張しているようにも思えるのだが果たして。

“何なんだ、俺をどこに連れてくつもりだ?
女はいるんだろうな、頼むから女のいるとこにしてくれよ
女がいないとこなんて話にならないからな、俺はもっと女が欲しいんだ
どうか悪い夢でありますように 女なしなんて耐えられない
お願いだからここから出してくれ 夢なら醒めてくれ
誰か俺を起こしてくれ 最悪だ ビッチはどこ?”


 

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