2013年3月10日日曜日

5AM In Toronto〜トロントは朝の5時



 「お前、子役やってただろ」なんて批判もちらほら聞こえてきそうだが、「叩き上げで俺たちここまで登りつめたぜ」(Started from the bottom, now we're here)、と自身とクルーの成り上がりを高らかに謳う、先月発表の"Started from the Bottom"でも、「偽の友なんていらない」(fuck a fake friend)と繰り返しライムしていたけど、この男、最近、友人関係にトラブルでもあったのだろうか……(噂ではレーベル契約の話がこじれた末、盟友The Weeknd(ザ・ウィークエンド)と喧嘩別れしたのだとか)。


Drake - "Started from the Bottom"

 Drake(ドレイク)が新曲"5AM In Toronto"を発表した。この曲のドレイク、スワッグ(もう死語?)がハンパない!
 ヒップホップでよくある、思わず「それ嘘だろ!」とツッコミを入れたくなる、見栄はりまくりで、ときに滑稽なボースト・ソングも、ファンタジーとして、またギャグとして面白い(当人たちはいたって真剣なのかもしれないが)。が、ドレイクのような真の成功者(今回の"5AM In the Toronto"でも「経済紙フォーブスの長者番付リストに載った」とライムしている)の語る、事実に裏打ちされたボースティングは、それが事実であるだけに、やはり言葉の重みが違い、聴いていて最高にエキサイティングだ。


Drake - "5AM In Toronto"

 新曲"5AM In Toronto"は次の一節より始まる。

"You underestimated greatly/Most number ones ever, how long did it really take me"
(お前は過小評価してる/ナンバー1ソング最多獲得、ここまで来るのも楽じゃかったぜ)

Drake - "5AM In Toronto"

 ドレイクは、フィーチャリングで参加した昨年8月発表の2 Chainz(2チェインズ)による"No Lie"が、米ビルボードR&B/ヒップホップチャートで1位を獲得したことで、それまでのジェイ・Zの記録を抜き、歴代最多R&B/ヒップホップチャート1位獲得アーティストとなった(via. Billboard)。


2 Chainz - "No Lie (feat. Drake)"

 これ以降の大胆不敵なリリックの数々が荒唐無稽でない、説得力足るものに感じられるのは、この最初のビルボードチャートの一節が、それらの論拠として機能しているからのように思う。

The part I love most is they need me more than they hate me
So they never take shots, I got everybody on safety
I could load every gun with bullets that fire backwards

面白いのはヤツらは俺を嫌っていても俺が必要だってこと
だから誰も引き金を引きはしない、俺の前ではどいつも安全装置をオン
俺に向けられた弾は後ろへ飛んでいく

 どんなにドレイクを忌み嫌っていようとも、彼はヒット曲連発の売れっ子アーティスト。ヘイターたちも背に腹はかえられず、なくなく自分をゲストに呼ばざるをえない、とドレイク。リスナーの耳を惹くには俺の助けが必要だろ?と言っているのだ。
 そんな“ドレイクさまさま”なわけなので、自分に歯向かおうなんて愚か者はいないよな、とも。仮にドレイクに口撃しようとも、「弾は後ろへ飛んでいく」とライムしているように、言い負かされて(後ろに飛んだ銃弾を被弾して)自滅するだけだと、現行シーンにおける自分の圧倒的な優位性を説いている。

"Give these niggas the look, the verse, and even the hook/That's why every song sound like Drake featuring Drake"
(ビデオに出演、ヴァースに加えてフックも提供/どの曲も“俺 feat. 俺”って感じ)

Drake - "5AM In Toronto"

 ラップと歌、両刀使いの芸達者ドレイク。客演ヴァースに加えフックまでドレイクが担当する彼の参加楽曲はどれも、"ドレイク feat. ドレイク"状態に!


Lil Wayne - "Love Me (feat. Drake & Future)"

 “スワッグむんむん”なこの"5AM ~"を聴いた僕は、「やっぱりドレイクはヤバい!!」と大興奮したのだが、事実、皆が皆同じように熱狂しているというわけでないようだ。なかには、白人女子ラッパー、Kitty(キティ)のように、複雑な心境でこの曲を聴く者もいる(cf. "R.R.E.A.M."ってナニ)。
 マイクを握りステージに立つ傍ら、ヒップホップ・ライターとしても活躍するキティが、noiseyに寄せた「"5AM ~"を聴いた感想」が面白い! キティはそこで、"5AM ~"にも分かりやすい、ヒップホップのコンペティション(競争)体質をあまりよく思っていないと語る。

 「私、思うんだけどさ、ドレイクはパーティでザ・ウィークエンドに出くわしたら気まずくないかな? お互いのことをこうやって詩に書いたラッパー通しが、イベントでばったり顔を合わせたら気まずいわよね?(略)でも、やっぱりドレイクを見てると悲しくなるわ、私たちみんな仲良くやっていけないかしら? もしあなたがこんな風に朝っぱらからカッカしてるのなら、私と一緒にヨガ教室に行って、それからハーブティーでも飲みながら話し合いましょ。相談に乗るわ」。

 ごもっともな意見。確かに朝5時からこのテンションのドレイクって。

 

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