2012年11月20日火曜日

Thursday〜木曜日の彼女〜



 フリー・ダウンロードで公開したミックステープ3部作『House of Ballons』『Thursday』『Echoes of Silence』をひとつにまとめ、この度フィジカル・リリースされた、カナダのR&Bシンガー、Abel Tesfye(エイベル・テスファイ)によるソロ・プロジェクト、The Weeknd(ザ・ウィーケンド)の『Trilogy』を聴いて、2枚目の『Thursday』が引っかかった。
 今回『Trilogy』としてフィジカル盤でリリースされるにあたり、3作品それぞれの最後に新曲・未発表曲が追加収録されているが、『Thursday』の新録曲では、ドラッグとセックスに溺れた、どうしようもなく退廃的な愛の物語に、新しいオチ(というより、男としてのけじめ)をつけているように思える。




It seems like pain and regret are your best friends
Cause everything you do leads to them
Baby I could be your best friend
Baby I could fuck you right

Baby you can have it all
Baby you can have it all
Baby you can have the cars
The clothes, the jewels, the sex, the house
Baby you could be a star

Baby all your sins are your best friends
And nothings ever ever your fault
Nothings your fault baby, no
Baby you don't need your best friends
Cause I got everything you want

Baby you can have it all
Baby you can have it all
Baby you can have the cars
The clothes, the dreams, the sex, the house
Baby you could be a star

If, all I could say is if
Promise me, you won't regret me like the tattoos on my skin
Like the wrong path
Promise me that when they all love is you
You'll remember me
When you fuck them you'll see my face
My body is yours
Give them any other day but Thursday
You belong to me
Every Thursday
I wait for you
I'll be beautiful for you
Every Thursday
I exist
Only on Thursday

Not on Monday, Tuesday, Wednesday, Friday, Saturday, Sunday
But on Thursday
Not on Monday, Tuesday, Wednesday, Friday, Saturday, Sunday
But on Thursday

どうやら痛みや後悔が君の親友のようだね
だって君は何をしてもそうなんだから
俺が君の親友になってあげるよベイビー
優しく抱いてあげる

ベイビー君は全てを手に出来る
君は何だって手に出来るんだ
ベイビー君は車、洋服、宝石、肉愛、家を手に出来る
君はスターにだってなれるんだよ

君の罪が君の親友
何も君のせいなんかじゃないよ
何も悪くないんだよ 何も悪くない
君に親友はいらないよベイビー
だって君の欲しいものは全部俺が持ってるからさ

*繰り返し

(もし 「もし」としか私には言えないけど
約束して 体に彫ったタトゥーみたいに後悔させないって
誤った道が好きなの
約束して みんなから愛されるようになっても
わたしのことを思い出してくれるって
あなたが他の子と愛し合うなら 私の顔がよぎるはず
私の体はあなたのものよ
他の曜日はいいけど木曜日だけ あなたは私のものよ
毎週木曜日 あなたを待ってるわ
御粧し(おめかし)してあなたを待ってるわ 毎週木曜日
私が生きるのは 木曜日だけのため)

月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも土曜日でも日曜日でもなく
木曜日
月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも土曜日でも日曜日でもなく
木曜日

 『Thursday』の1曲目"Lonely Star"。エイベルはあるひとりの孤独な女性を言葉巧みに口説き落とし、ある“決め事”をする。その決め事とは、木曜日のみ肉体関係を持つというもの。かくして木曜日が二人のヤリ日になり、この女性はエイベルの“木曜日の彼女”となった。

 続く2曲目"Life of the Party"で、


Welcome to the other side
You're lost
Baby step outside your mind
You've been really good
You've been really good
You've been thinking bout being bad ever since I put you on
She got money for blow
Just look at that nose

Prescription ain't an issue
You can mix it with the uh
And if you wanna do it, baby
I'm right here with you
I'm on cloud 9
Baby you're behind
You can follow me

You can follow me if you want
Go downtown with the drugs in your body
Take that step you're the life of the party
Know that step you're the life of the party

I got 2 little ladies
I got 1 little room
There's a room full of niggas
Baby what you wanna do?
The way you move got me feeling so uhh
I been thinking about it baby
I been thinking about it lately

I'm so far gone and you are too
Show me how you go downtown
With the drugs in your body
Take that step, you're the life of the party
Know that step, you're the life of the party

ようこそこっちの世界へ 君は迷子
心の扉を開いて出ておいでベイビー
君は本当に最高だよ 本当に最高
俺が教えて以来 君は悪い子になろうって考えてたんだよね
彼女はクスリ代を持っている ほら彼女の鼻を見てみてよ

クスリ自体は問題じゃないんだ これを一緒に混ぜると…
もし君もやってみたくなったら 俺はここにいるよ
気分はクラウド9の上 ベイビーまだまだだね
さあ俺について来て

一緒に来たいならついて来て
街へ繰り出そう ドラッグをやって
さあ一歩踏み出して 君はパーティの主役だよ
分かるだろ 君はパーティの主役だよ

小さなレディーを二人と 小さな部屋を用意したよ
野郎たちでごった返した部屋もある
さて何をしようかベイビー?
君の腰つきが俺をこんな気持ちにさせるんだ…
俺がずっと考えてたのはこれだよベイビー
最近ずっと考えてたんだ

超ハイになってる 同じように君もハイ
俺をダウンタウンにイカせておくれ
ドラッグをやって
さあ一歩踏み出して 君はパーティの主役だよ
分かるだろ パーティの主役は君だよ

 エイベルは彼女に“楽しみ方”を手ほどきしてやる。
 しかし、

I love her, today
Cause it's wednesday, I won't be late
I don't need to know if you're feeling when I'm free

Not on monday, tuesday, wednesday, friday, saturday
Sunday but on thursday thursday
Not on monday, tuesday, wednesday, friday, saturday
Sunday but on thursday, make sure you are thirsty
Ohhhh on thursday, baby get ready ohhh on thursday
Woaahoooh hold it ohh on thursday, just wait on thursday,
Baby only thursday

Girl I try, girl I try
I've been here for too long
Baby don't cry
I heard you are calling again
But it's not thursday, baby why you calling?

Not on monday, tuesday, wednesday, friday, saturday
Sunday but on thursday thursday
Not on monday, tuesday, wednesday, friday, saturday
Sunday but on thursday, make sure you are thirsty
Ohhhh on thursday, baby get ready ohhh on thursday
Woaahoooh hold it ohh on thursday, just wait on thursday,
Baby only thursday

今日は彼女を愛してる
水曜日だから遅れない
なあ 教えてくれよ 俺が暇な時君がどうなのか

月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも土曜日でも
日曜日でもなくて木曜日 木曜日だからね
月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも土曜日でも
日曜日でもなくて木曜日 木曜日は喉を渇かしといてね
ベイビー木曜日の準備をしといてね
待ち焦がれた木曜日 木曜日だけ

俺は努力はしたさ
ここに長くいすぎた
ベイビー泣かないで また君が電話してくるのが聞こえるけど
でも木曜日じゃないのに 何で電話してくるんだい?

月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも土曜日でも
日曜日でもなくて木曜日 木曜日だからね
月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも土曜日でも
日曜日でもなくて木曜日 木曜日は喉を渇かしといてね
ベイビー木曜日の準備をしといてね
待ち焦がれた木曜日 木曜日だけ

 3曲目"Thursday"まで差し掛かるころには、エイベルとの関係にすっかり病み付きになっていた木曜日の彼女。彼女はもう木曜日だけでは満足できない。



Why you rushing me baby?
It's only us, alone
I don't want to die tonight baby
So lemme sip this slow
I'll give you what you called for
Just let me get in my zone
I'll be making love to her through you
So let me keep my eyes closed

And I won't see a damn thing
I can't feel a damn thing
But I'mma touch you right
I won't see a damn thing
I can't feel a damn thing
But I'mma touch you right

I'mma touch you right (let me sip this slow)
I'mma touch you right (let me get inside my zone)
I'mma touch you right (just let me)

なんでそんなに急かすんだいベイビー?
俺と君の二人きりじゃないか
俺は今夜死ぬつもりはないからねベイビー
だからゆっくり飲ませて
君の欲しいものをあげるよ 俺のゾーンに集中させて
俺は君を通して彼女とメイクラヴをするんだ
だから目を閉じさせて

何も見えない 何も感じない
それでもオレは上手に触れるよ
何ひとつ見えない 何ひとつ感じない
それでもオレは上手に触れるよ

上手に触れるよ(ゆっくり飲ませて)
上手に触れるよ(俺のゾーンに入れさせて)
上手に触れるよ(俺に)

先の"Thursday"で、約束破りの電話に困惑するあの感じからは、木曜日の彼女のハマりっぷりに対し、エイベルの方は当初の約束通り、この彼女とはあくまで木曜日限定の関係なのだと、割り切った感情のもと付き合っているように見受けられるのだが、4曲目"The Zone"では、"I'll be making love to her through you"と、何やら意味深な表現が見られる。
 実はエイベルにも気があって、ことの最中にエイベルが目を閉じて思い浮かべる女性、その人が木曜日の彼女なのか、あるいは逆に、木曜日の彼女を媒介にして、他の女性と擬似的に愛し合っているのか。"The Zone"のミュージック・ヴィデオに登場する女性は、ミックステープのアートワークで水曜日と金曜日に挟まれ笑みを浮かべる女性とは、別人物のように見えるのだが。
 またミュージック・ヴィデオの風船だらけの部屋からは、どうしたってザ・ウィーケンドのファースト・ミックステープ『House of Balloons』を連想してしまうわけで、ということは、この"The Zone"に出てくる女性は、同ミックステープのタイトル曲"House of Balloons"で、エイベルに半監禁状態にされていたあの女性なのでは、などと勘ぐってしまう。

 で、そんな意味深な発言も飛び出す"The Zone"に続くのが、歌いだしで「分かってくれるといいんだけど、これは俺にとっては何でも無いんだ」と、彼女を突き放す"The Birds (Part 1)"だ。


So don’t you fall in love
Don’t make me make you fall in love
Don’t make me make you fall in love with a nigga like me
Nobody needs to fall in love
I swear I’m just a bird
Girl, I’m just another bird
Don’t make me make you fall in love with a nigga like me
Like Me

恋に落ちないで
君が恋に落ちるよう俺に仕向けさせないでくれ
君が俺みたいな男に恋するよう俺に仕向けさせないでくれ
誰も恋に落ちる必要はないんだよ
俺は鳥
ガール俺は渡り鳥なんだ
君が俺みたいな男に恋するよう俺に仕向けさせないでくれ
俺みたいな男に

チャンカワイ
「惚れてまうやろ」
あまり深く考えずに聴けば、この曲はエイベルが、約束を守らず深入りする木曜日の彼女に対し、二人の関係に愛を見出すのはよそうと忠告しているように聴こえる。もちろん、そうなのだろうが、わざわざ「君が俺みたいな男に恋するよう俺に仕向けさせないでくれ」だなんて回りくどい言い方をしている、言い換えるなら、「惚れないで」ではなく、あえて「惚れさせないで」と能動的なニュアンスを漂わせているのは、本気になって肉体関係以上のものを求めてきた彼女同様に、エイベルの方も「まずい、このままじゃ俺も好きになっちゃう…」と感じ始めているからではないだろうか。「惚れてまうやろ」ならぬ「惚れさせてまうやろ」である。仮に恋仲になったとしても、エイベルは所詮“渡り鳥”ゆえ、自分の元を去られて傷つくのは彼女。だからエイベルは拒絶する。



Whoa, with a nigga like me...

She said please, mercy me, mercy me
Let me fall outta love, before you fuck her, before you fuck her
She begged me, she gave me all her pills
Now my back hurts, she lost control

Now she begging, she on the floor, she on the floor
Baby got her pleading, she on the floor, she on the floor
She said, it won't be long before she falls out of love
Won't be long before she falls out of love

[Bridge]

Just a bird, tried to kiss you
But you never let me miss you
But you never let me miss you
I thought I told you
I'm not him, I'm not him
What you did, nobody forced your hand
And don't you fall for a nigga like me, I begged, I begged

俺みたいな男に…

彼女が言った お願い どうかお願いよ
私から終わりにさせて あの娘の元へ行く前に あの娘とヤル前に
せがんでくる彼女 持ってるピルも全部よこしてきた
腰が痛む 彼女は自分を見失っちまってる

嘆願する彼女 床に這いつくばりながら
袖にすがる彼女 床に這いつくばりながら
彼女が言った もうすぐに愛想を尽かすから
もうすぐに愛想を尽くすから

[Bridge]

俺は鳥 君にキスしようとした
でも君はお別れさせてくれない
君はさよならさせてくれない
言っておいたと思うんだけどな 俺はそんな男じゃないって
君のしたことは 誰も強制したことじゃないよ
俺みたいな男に恋しないでって お願いしたよね

 "The Bird (Part 1)"で袖にされた彼女は、続く"Part 2"でエイベルに泣いてすがるのだった(イントロでは文字通り泣いている!)。彼女はエイベルに懇願する、「浮気性のあんたなんか、こっちから願い下げよ! でも、もうすぐに愛想を尽かすから、だから、だからお願い……もう少しだけ一緒にいさせて」。

 この後の2曲"Gone""Rolling Stone"は、どちらもそのタイトルから察しがつくように、ひたすらドラッグとセックスに耽る曲。
 そして、ハイになりすぎて、ついには天まで飛んでいってしまったのか、「天国を手にした」「俺は神」と歌ってのける終曲"Heaven or Las Vegas"で『Thursday』は幕を閉じる。

と、ここまでがミックステープ版『Thursday』の話。冒頭で触れたように、このたび3枚組でフィジカル・リリースされた『Trilogy』では、"Heaven or Las Vegas"の後に、新録曲"Valerie"が続き、この物語にオチをつけているように思える。


There comes a time in a man's life
He must take responsibility
For the choices he has made
There are certain things that he must do
Things that he must say

Like I Love you
And I need you
I only want you
And nobody's going to know if it's true

I never thought I'd feel this kind of hesitation (tonight)
My hand on another girl
I wish I didn't have to lie
I wish I could let you know

Cause I love you
And I need you
I only want you
And nobody's going to know if it's true

Valerie
I know you can see through me
Valerie
You just choose to never know
Valerie
Why pretend to trust in me?
(I don't know why you try to trust in me baby, but I think I might know )
Valerie
You'd rather this than be alone

Cause I love you
And I need you
I only want you
And nobody's going to know if its true

And I love you
And I need you
I only want you
And nobody gonna know

男の人生にはその時がやってくる
責任をとらなくてはならない
自分がしてきた選択に対して
やらなくてはならないことがいくつかあるんだ
言わなきゃならないことがあるんだ

君を愛してる 君が必要だ 君だけを愛してる とかね
でも それが真実かは誰にも分からない

こんな風にためらいを覚えるなんて思いもしなかったよ(今夜)
また別の娘に手を出してる
嘘なんか付きたくないよ
君に知ってもらいたい

だって 君を愛してる 君が必要だ 君だけを愛してる
でも それが真実かは誰にも分からない

ヴァレリー 分かってるよ 君が俺の嘘を見抜いてるって
ヴァレリー 知らないでいることを選んだんだね
ヴァレリー 何で俺を信じてるふりなんかするんだい?
分かんないよ 何で俺を信じようとするんだいベイビー? でも分かるかも
ヴァレリー 孤独でいるよりはこっちの方がましだからね

だって 君を愛してる 君が必要だ 君だけを愛してる
でも それが真実かは誰にも分からない

君を愛してる 君が必要だ 君だけを愛してる
でも 誰にも分からない

 とうとう自分の素直な(?)気持ちを曝け出したエイベル(ただし、"And nobody's going to know it's true"と、若干煮え切らない態度をとっているのが気になるが)。ザ・ウィーケンドと聞いて多くの人が思い浮かべるであろう、ドラッギーで背徳愛が渦巻く彼の歌詞世界を考えると、「愛している」と歌うこの曲はかなり特異なものに感じられる。
 そして曲タイトルの"Valerie"は女性名である。確証はないが、多分このヴァレリーこそが『Thursday』のヒロインである、木曜日の彼女の正体なのだろう。だとすれば、エイベルは最後にヴァレリーの愛を受け入れ、『Thursday』は一応、めでたしめでたしのハッピーエンドで完結したということになるかと思う。

 こうして、ザ・ウィーケンドのトリロジーは、これまでは散々女性を弄んでいたエイベルが、今度は逆に弄ばれる側となる、グルーピー・ソングの"D.D."より始まる最終章『Echoes of Silence』へと続いていく…。あれ、ちょっと待って、ヴァレリーは?(『Echoes of Silence』2曲目"Montreal"では、早くもフラれたようなことを示唆してるけど、これって相手はヴァレリー?)




 

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