2017年4月8日土曜日

バリー・ジェンキンス『ムーンライト』〜ジャネール・モネイの役どころ



『ムーンライト』(16年)鑑賞。本作を観たあとは、出演者のひとりでありシンガーのJanelle Monáe(ジャネール・モネイ)のアルバムを繰り返し聴いている。28世紀の未来都市メトロポリスを舞台にしたSF仕立ての彼女の3枚のアルバム『Metropolis: Suite I (The Chase)』(07年)、『The ArchAndroid』(10年)、『The Electric Lady』(13年)は、連作でひとつの壮大な物語になっている。<ロボットの恋>を禁じるこの世界のルールを破り、人間との恋に落ちるジャネール扮するアンドロイドのシンディ・メイウェザーをめぐりストーリーは展開される。作品内でほのめかされるように、この物語に登場するロボットは、現実社会における人種・宗教・性的マイノリティなど、虐げられた人々のメタファーだ。抑圧されたアンドロイドを自由と解放に導くシンディの歌と踊りは、近年のブラック・ライヴズ・マター運動とも重なるアファーマティヴ・アクションと見ることが出来るだろう。一方でシンディの存在を不愉快に思う人間の「ロボットの恋はクィアだ!」という心無い発言にも暗示的なように、許されざる恋という設定はLGBTの境遇を連想させる。虐げられた人々の救世主シンディ=ジャネールが、『ムーンライト』でゲイの主人公の庇護者を演じているのは実に気の利いた配役である。月のモチーフを用いた「Many Moons」という曲の一節は、そのまま映画の役柄を体現しているかのようだ「世界から不当な扱いを受けたなら、私のもとへおいで、家へ連れ帰ってあげる」。



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