2016年11月6日日曜日

ティナーシェイ『Nightride』



「俺の聴きたかったTinashe(ティナーシェイ)はこれだ!」『Nightride』(16年)を聴いては、そう叫ばずにいられない。制作中だと伝えられている2ndアルバム『Joyride』は、レコード会社との折り合いがつかず発売が延期。『Joyride』からは「Superlove」などシングル曲を数曲発表済みだけど、大衆受けを狙った如何にもラジオ向けといった曲ばかりで、方向性を見失っている感が否めなかったわけだが、『Nightride』はティナーシェイの過去のミックステープ作品を想起させるダークでメランコリックなアンビエントR&Bで大満足。ファンからの質問に対して「どちらが良い悪いとかではなくて、どちらも等しく私の中の一部分。コインの裏表、陰と陽みたいなもの」と、『Nightride』と『Joyride』共に良い作品だみたいな答え方をしているけど、「誰の指図も受けずに生きてこそわたしの人生」「明晰夢を見るようにコントロールする」といった歌詞からは、やりたいことがやれず窮屈な思いをしているティナーシェイの息苦しさがひしひしと伝わってくる。それと「Spacetime」という曲では、英ドラマ『ブラック・ミラー』のオープニングタイトルをサンプリングしている。ここでは歌を題材にしたシーズン1のエピソード2「1500万メリット」が想起される。近未来の管理社会で無感情に機械のように生きる主人公がヒロインの美声に希望を見出して、音楽オーディション番組への出演を手助けするが、歌手になって管理社会から抜け出すという二人の企ては失敗し、皮肉にもヒロインはポルノ女優になってしまうという話だ。 この悲運のヒロインの姿が、同じようにレコード会社の管理下に置かれ、意に沿わない曲を歌わされ、肌も露わに踊らされているティナーシェイに重なる(決めつけ)。セクシーなライフセーバーなんて男の欲望でしかない。『Nightride』は感触こそ暗く憂鬱げだが、ティナーシェイの未来を託した光明的作品だ。


Tinashe - "Spacetime"


Black Mirror | 15 Million Merits | Channel 4

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