2016年1月24日日曜日

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』と『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』



 坂元裕二脚本のテレビドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16年)の第一話を観た。杉原音(有村架純)と曽田練(高良健吾)が愛らしいことこの上ない! 他愛のない会話の豊かさに、ああ、坂元裕二作品を観ているのだと実感する(「東京ってさ、一駅分くらい歩けるって本当?」「本当です」「嘘だ」「三駅くらい歩けますよ」「嘘言うな、三駅って戦士やん」「戦士じゃないです」「競技やん」「競技じゃないです。三駅歩く競技ないです」「ふふ、飴食べ」のくだりが最高すぎる)。この愛らしさ、最近別の作品でも感じたなと思い返してみて、思い当たったのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15年)だった。『いつ恋』の主演二人の姿は『フォースの覚醒』の新たな主人公レイ(デイジー・リドリー)とフィン(ジョン・ボイエガ)のそれに重なって見える。この二組の設定を比べてみると、類似点が多いことに気づく。まず「孤児」という共通点が挙げられる。音は幼いころにシングルマザーの母と死別して、里親に引き取られる。練も何らかの理由により親がいないことが本人の台詞から確認できる。一方、『フォースの覚醒』のレイとフィンも、詳しい事情はまだ明らかになっていないが、幼いころに親と引き離された孤児である。生い立ちに続いて指摘したい類似点は、それぞれのパートナーとの出会い方。二組とも最初の出会いは「窃盗の誤解」を通じてだった。練は友人の中條晴太(坂口健太郎)が旅先で盗んできたカバンのなかに古びた手紙を見つける。手紙を読んだ練はその内容に深く感じ入り、持ち主に返すべく音のもとを訪ねるも、音からは泥棒扱いされてしまう。対してフィンも、ストームトルーパーのスーツを脱ぎ捨て代わりに羽織ったポー・ダメロン(オスカー・アイザック)のジャケットを、BB-8とレイに盗んだものだと勘違いされ追い回されたのが最初の出会いだった。音は勤務先のクリーニング店の物差しを手に、レイは棒状の武器「クォータースタッフ」を手に泥棒に立ち向かうという格好もなんとなく似ている。『いつ恋』劇中で「つっかえ棒」と表現される音の手紙は、亡き母の記憶を留めた数少ない品のひとつで、音の心の支えとなっている。記憶を留めた物品といえば、『フォースの覚醒』のライトセーバーも同様である。マズ・カナタの城で呼び寄せられるようにして見つけたライトセーバーに触れたレイは、彼女の父(と思われる)ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の記憶をフラッシュバック体験する。フォースの争いに慄いたレイはライトセーバーの受け取りを拒むが、フィンを介してレイの手へと渡る。一方、音の手紙も練が遠路はるばる届けにやって来たというのに一時は受け取りを拒否されるが(「大事なものって荷物になんねん」の台詞に唸る)、最終的には練(の運転する運送トラックのダッシュボード)によって彼女の手元に返される。音を閉塞した田舎町から連れ出した練の運送トラックは、『フォースの覚醒』でいうミレニアム・ファルコン号にあたると言えるかもしれない。ニューオーダーの爆撃を受けて吹き飛ばされたフィンに手を差し出すレイと、男女は逆転するけれど、里親の家を飛び出した音をトラックのなかに引き込もうと手を差し伸べる練の姿が重なる。『いつ恋』『フォースの覚醒』どちらの作品も素晴らしい「ボーイ・ミーツ・ガール」ものの青春ドラマなのである。


「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」



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