2015年10月12日月曜日

タイラー・ザ・クリエイター『The Jellies』



 Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)制作のアニメシリーズ『The Jellies』(15年〜)がGOLF MEDIAで配信開始された。『The Jellies』はクラゲの一家のお話。クラゲの家族に拾われ養子として育てられてきた少年コーネルが巻き起こす騒動を、人種や同性愛をネタにしたブラックな笑いとともに描くコメディ作品だ。コーネルはブロンドヘアと青い瞳を持った典型的な白人キャラクターだが、トレードマークの緑のキャップをはじめとしたその服装から察するに、モデルとなっているのはタイラーなのだろう。加えてコーネルにはIQが100万を超える(!)オタクな妹がいるという設定だけど、同じくタイラーにも妹がひとりいることを考えると、このクラゲ一家自体がタイラーの家族をモデルにしているように思える。でも一点、コーネルとタイラーの家族構成で大きく異なる点がある。父の存在である。第三話まで見終えて強く感じるのはタイラーの父への思いだ。よく知られるようにタイラーの父はタイラーが幼いときに家を出て行ってしまった。『Bastard』(09年)、『Goblin』(11年)といった初期作品には「不在の父」に向けられたタイラーの怒りや呪詛が深く刻み込まれている。一方、『The Jellies』のコーネルはというと、第一話の冒頭、コーネルの16歳の誕生日に養子であることを父から打ち明けられ、それまで嘘をつかれていたことに憤りこそするものの(ていうか、もっと早く気付くだろ!)、お父さんクラゲとは普通の親子関係を築いている。それどころか、毎話コーネルがとんでもない騒動(第二話「AIDS」では、N.W.A.のEazy-E(イージー・E)に憧れるあまり、エイズに自らすすんで罹ろうとしたりと、とにかくハチャメチャ!)を巻き起こすわけだが、物語は事態を解決しようと奔走するお父さんクラゲの「息子を思う気持ち」によって駆動される。『The Jellies』を観ていると、現実の人生で父とふれあうことの出来なかったタイラーが、その穴埋めとして、作品を通じて擬似的に父との交流をはかっているように思えてくる。


The Jellies Season 1 Teaser


Tyler, The Creator - "Answer"



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