2015年9月27日日曜日

F・ゲイリー・グレイ『ストレイト・アウタ・コンプトン』



 ニューヨーク滞在中にN.W.A.の伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』(15年)を観た! 鑑賞場所はマンハッタンのミッドタウンにあるAMC Loews 34th Street 14という劇場。封切りから日が経っているためか、夜の遅い上映回だったためか、お客さんは僕のほかに5組くらいだけでしたが、人生初の海外での映画鑑賞は強烈な体験となりました。声に出して笑う、文句を言うなど海外の映画館における客の鑑賞態度についてはよく耳にしていたけど、本当にその通りでヴィヴィッドな反応が面白かった。『ストレイト・アウタ・コンプトン』序盤、N.W.A.を結成するも頭数が足りなくなり、仕方なく自分もラップをするはめになったEazy-E(イージー・E)。彼が慣れないラップに悪戦苦闘する姿をコミカルに描いたシーンでは観客一同大爆笑でした。また物語中盤、ライブ開演直前に警察から「Fuck Tha Police」の演奏を自粛するよう脅しをかけられるも強行披露する場面では、Ice Cube(アイス・キューブ)が中指を立てるよう求めると、スクリーンの外で映画を観ている観客も一緒になって中指を突き立てていた!。臨場感たっぷりのライブシーンをはじめ、アクション映画さながらの警官隊との攻防戦、メンバー通しあるいは悪漢Suge Knight(シュグ・ナイト)との確執を描いた人間ドラマ、N.W.A.以外にも登場するヒップホップ・ファンにはおなじみのあの人やこの人などなど、見所たくさんの本作。そのなかでも僕が一番好きなシーンは「ラップなんてアートじゃない」と馬鹿にしていた大人たちの予想を気持ち良く裏切る形でデビューアルバム『Straight Outta Compton』(88年)が大ヒットし、ライブツアーで訪れた先のホテルでの一場面。Dr. Dre(ドクター・ドレー)が綺麗な女性とベッドでいちゃいちゃしていると、部屋のドアを何者かがノックする。ドアの前には巨漢が立っていてガールフレンドを探していると言う。ドレーはちょっと待てと言い残し、部屋に戻る。観客はてっきりドレーといちゃついていた女が、男の探しているガールフレンドかと思いハラハラするわけだが、実はその部屋は隣室とつながっていて、隣ではN.W.A.の面々がグルーピーの女性を山ほど連れ込んで酒池肉林のどんちゃん騒ぎを繰り広げていたのだった! ドレーから事情を聞いたN.W.A.のメンバーはベッドをひっくり返し、隠してあった銃火器を手にホテルの廊下へ躍り出て、男を退散させるのであった(武装したN.W.A.が陣形を組んで廊下を突き進む姿が超かっこいい!)。ただの音楽オタクとチンピラだった若者が、ラップとレコードを武器に世界を席巻し、女と美酒に酔いしれるこの場面に「ヒップホップ・ドリーム」を感じずにいられない。
 上映終了後、大興奮のままニューヨークの街をてくてく歩いていると、タイムズスクエアに数あるネオンサインのなかでもひときわ大きいサイズの看板でドレーのプロデュースするヘッドフォン「Beats」の広告を目にした。定職にもつかず日がな一日レコードを聴く日々を送り、お母さんに実家を追い出された在りし日のアンドレ青年の姿をついさっき観たばかりだっただけに、ドレーのサクセス具合が余計に大きく感じられ、夜中の1時過ぎでも煌々と光り輝くネオンサインの熱も相まってか、なんだかクラクラしてしまった。


N.W.A. - "Straight Outta Compton"


Straight Outta Compton - Official Global Trailer

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