2015年6月13日土曜日

How many leaders in the house?〜タイラー・ザ・クリエイターとケンドリック・ラマーのノブレス・オブリージュ



 居丈高で(「For Free?」)調子に乗っていた(「King Kunta」)が、そんな自分の愚かさに気づき(「Institutionalized」「These Walls」)、絶望して(「u」)、ややあって(大幅省略)、最終的にリーダーとしての自覚を獲得する(「Mortal Man」)。というのが、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)の『To Pimp a Butterfly』(15年)の超大雑把なあらすじである。
 一方、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)の『Cherry Bomb』(15年)も、ケンドリックの『TPAB』のような起承転結に富んだストーリー構成こそ見られないものの、過去作も含めたディスコグラフィ全体として見たときには、同じくリーダーとしての自覚を獲得する作品だと位置付けることができるだろう。これまでの作品ではオルターエゴが複数登場する独自のファンタジー世界が描かれていたのが、今作では一転して同世代の若者を鼓舞する前向きなメッセージ(FIND YOUR WINGS)がタイラー本人の口から歌われる。富や名声を手にしたケンドリックとタイラーふたりの作品は、どちらもセレブリティ(有名人)の責務=ノブレス・オブリージュへの気づきがテーマのひとつであるように思う。むろんその責務とは、リーダーとなってリスナーを導いていくことだ。
 歌われる内容もふたりの作品は似ている。タイラーの「BUFFALO」とケンドリックの「i」ではともに「自信を持つこと」の重要性が歌われる。またタイラーの「KEEP DA O'S」とケンドリックの 「You Ain't Gotta Lie」では拝金主義を信奉して「気取る」ことがいかに空虚であるかが説かれる。
「BUFFALO」でタイラーは「リーダーはどこにいる?(How many leaders in the house?)」と繰り返し問う。その答えは皮肉たっぷりで痛快だ。「リーダーはどこにいる? ほら、誰も手を挙げない それが問題なのさ」



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