2015年3月1日日曜日

ドレイク『If You're Reading This It's Too Late』



 これまでもさんざっぱら書いてきたように「未練がましさ」に定評のある Drake(ドレイク)だが、驚くべきことに『If You're Reading This It's Too Late』(15年)では、いつものように後ろ髪をひかれる側ではなく、なんと、後ろ髪をひく側にいる。「Star67」でドレイクはこう歌う「グラビア美女からメッセージを受信、でも返事はしない」。まさかの既読スルー! いつからそんな身分になったのだろうか。そこには元恋人相手にうだうだとクダを巻く、あのいつもの女々しいドレイクの姿はない。今回の『If You're Reading This It's Too Late』には前出の"Star67"のほかにも、後ろ髪をひく側の視点から歌われた「Now & Forever」という曲があり、これがアルバムタイトル然り、非常に意味深なのだ。一見(聴)すると、ドレイクが恋人関係を断ち切ろうとしているように聴こえる。

もう終わりだ、そろそろ行くよ、それじゃあな
間違いだった、長く留まりすぎたんだ

後ろ髪をひかれる側でなく、ひく側(この曲の内容に即して言い換えるなら、去られる側でなく、去る側)のドレイクはキャラになくちょっぴりイケメンの風格が漂う(イケメンを気取っているだけかも?)。でもどうやらこの曲は、男女の別れの話をしているようでそれだけではないようなのだ。ドレイクのメンター(師)であるLil Wayne(リル・ウェイン)がデビュー以来所属しているキャッシュ・マネー・レコードからの離脱をほのめかし、そのキャッシュ・マネーのボス、Birdman(バードマン)を相手に訴訟を起こしたことが話題になっているこのタイミングで「去る」ことをテーマにした楽曲を発表するということは、レーベルメイトのNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)とともにその去就が注目されるドレイクの意思表明と受けとるべきであろう。つまりこの曲はドレイクからバードマンへの別れの手紙というわけだ。本作はもともとフリーダウンロード形式のミックステープとして発表するつもりだったらしいが、その意図を、リル・ウェインもレーベルのカネの支払いが不十分だと訴えているが(また、Pusha T(プッシャー・T)も「Exodus 23:1」(12年)で「搾取されてんじゃん、ざまあ(大意)」とディスっていたが)、キャッシュ・マネーの所属アーティストへのギャラ支払いに関して一部で悪い噂が囁かれるバードマンを儲けさせないための反逆行為と考えるのは勘ぐりすぎだろうか。仮にもしドレイクがバードマンに何の報告もなしに本作をフリーダウンロード形式のミックステープとして公開していたら、そのときバードマンはドレイクの反逆行為を知り、そして作品タイトルを見て愕然としたことだろう。「これを読んでる時点でお前はもう手遅れ」
 そういうわけで、ドレイクはリル・ウェインについて行く道を選んだようだ。『If You're Reading This It's Too Late』の最後の曲「6PM In New York」ではこう言っている「リル・ウェインの後継者として俺以上にふさわしい奴はいない」。確かにそうかもしれない。しかしリル・ウェインとバードマンが仲違いするなどと誰が予想できただろうか。数年後にはリル・ウェインも、Young Thug(ヤング・サグ)のようなフレッシュな若者にご執心かもしれない……。ドレイクがリル・ウェインにフラれた未練を歌う日がやって来ないことを願うばかりである


Rich Gang - "Flava"



0 コメント:

コメントを投稿

 

T H A T S * I T C R A Y ! Copyright © 2011 -- Template created by O Pregador -- Powered by Blogger