2014年12月7日日曜日

ロジック『Under Pressure』



 Logic(ロジック)のデビューアルバム『Under Pressure』(14年)が素晴らしい。トラブルだらけの粗悪な生活環境が生んだ善良な若者というと、またしても、というか、どうしたってKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)と比較してしまう(裏を返せば『good kid, m.A.A.d city』(12年)がそれだけエポックメイキングな作品であることの証左でもあるわけだが)。もしくは、SIMI LABのRIKKIを引き合いに出してもよいかもしれない。女兄弟が揚げ物を調理しているすぐ側でクラックの“調理”が行われ、目を移せば別の女兄弟が男に暴行されている。家に帰るとドアに立ち退きを命じるテープが貼られていたことも。母はヤク中、父はどこをほっつき歩いているのやら……といった具合に、ロジックの育った家庭環境はかなり悲惨。ケンドリックの名前を出したくなるのは、ロジックもそうした環境に育ちながらも、周囲に流されることなく品行方正にやっているから。ドラッグの売人だった兄を筆頭に周囲にギャング活動従事者が多くいたにもかかわらず、決してそれらには加わることなく、あくまで傍観者であったというロジックの立ち位置は、ケンドリックと同じだ(Gang Related)。また品行方正なうえロジックは真面目である。"Soul Food"では、女兄弟に暴力をふるう男に復讐心を抱くも「ぶっ殺してやりたい!けど出来ない、それは悪漢のすること、俺は違う」とおのれを律する。なんと真面目なこと!
 このたびDef Jamからめでたくメジャーデビューを果たしたロジック。成功につきものの「友人・知人の増加」はご多分に漏れずロジックも同じようだ。タイトル曲"Under Pressure"のフック部分では、電話でカネの無心をしてくる輩を「お前らにくれてやれるのは電話の発信音だけ!」と一蹴する(ミックステープ『Young Sinatra』シリーズ3作に登場する、ロジックを利用して金儲けをしようと電話で執拗にレコード契約を迫る「Sell Out Records」のマーティ・ランドルフを思い出させる)。この曲ではロジックの父が新しい恋人と遊ぶためのカネ欲しさに電話を掛けてくるが、今言ったようにロジックは電話に出ず、父は留守番メッセージを残している。でもクソ真面目なロジックのことだから、本当はきちんと家族に仕送りしているに違いないのだ。


Logic - "Under Pressure"



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