2014年12月23日火曜日

ニッキー・ミナージュ「Feeling Myself」〜フェミニズムの行き着く先



 なんじゃこりゃ。Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)の3rdアルバム『The Pinkprint』(14年)に収録の"Feeling Myself (feat. Beyoncé)"を聴いて、ぎょっとした。フェミニズムの行き着く先を見た気がする。今年は国連「UNウィメン」親善大使として力強いスピーチを行った女優のエマ・ワトソン、女性の自己実現に王子様の愛は必ずしも必要でないと説いたディズニー映画『アナ雪』、シャネルのショーでモデルたちに女性の地位向上を訴えるプラカードを掲げさせたカール・ラガーフェルドなど、様々な場面においてフェミニズムの機運のより一層の高まりを見た一年だった。それらフェミニズム運動の延長線上に件の曲"Feeling Myself (feat. Beyoncé)"はあると言えよう。Beyoncé(ビヨンセ)はフックで次のように繰り返す「アタシは絶好調(I'm feeling myself)」。ビヨンセとニッキーが好調なのは誰もが認めるところだろう。ヒップホップ/R&B界の二大クイーンによるいわゆる”自画自賛”ソングというわけだ。しかしタイトルにもなっているこの"feel myself"というフレーズには俗語で「自慰をする」の意味があることを考えると……。そう、彼女たちは自慰に耽っているのだ! 一般にセックスというと男本位で行われることの多いイメージがあるが、女だってやりたいときにやるのよ!(しかも男の力を借りることなく)といったところだろうか。だとすればそれは即ち、男根主義的なヒップホップの世界でも、女性ラッパーが独力で男性ラッパーに負けず劣らず渡り合えるのだという宣言に他ならない。つまりは彼女たちのように才気ある独立した女性には、男なんぞ不要であると遠回しに言っているのだ。これがただの洒落やダブル・アンタンドルでないことは、二人の前共演曲"Flawless (Remix)"が女性の応援歌であったことを思い出せば分かる。客演参加しているレーベルメイト二人との”お肉の関係”(ルビ:ペログリ、©田中康夫)を否定するところから歌い始めるという一風変わった趣向の一曲"Only"(アルバム『The Pinkprint』収録)でも「独立した女性(independent bitch)」が奨励されている。これぞフェミニズムの極北か。


Nicki Minaj - "Feeling Myself (feat. Beyoncé)"


Beyoncé - "Flawless (Remix) feat. Nicki Minaj"


Nicki Minaj - "Only (feat. Drake, Lil Wayne & Chris Brown)"



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